今回の休みは福井の嶺北へ。15年ほど前、真夜中の敦賀で始発を待った記憶があるけれど、あの時の静まり返った空気とはうってかわって、今の福井は新幹線延伸の熱気と恐竜への異様な投資が入り混じっていて面白い。

2日目の夕方、恐竜博物館を楽しんでからえちぜん鉄道に揺られて勝山から福井へ。車窓を流れるのは、どこまでも途切れない塊の集落。東武線の北側や長野のそれとは密度が違う。
銀鼠色の越前瓦に、焼杉の黒、そして冬の湿った雪から家を守るための、鎧のような金属の壁。立派な家には必ずといっていいほど手入れの行き届いた松が植わっていて、そのちゃんとしている佇まいに、この土地の堅実さと、剛健な豊かさを感じる。浄土真宗の信仰が厚いと聞いたが、家を整えることがそのまま仏への、あるいは地域への作法なのだろう。
集落を縫うように走る水路は、驚くほどかさが高い。民家のすぐ脇を、九頭竜川の支流とおぼしき水流が勢いよく流れていく。
冬はここに雪を投げ入れて流し去るのだという。空には巨大な送電塔が連なり、足元には轟々と水が流れる。福井の風景は、こうした生活を維持するためのインフラがむき出しになっていて、それがかえって力強い美しさを作っている。
宿泊したあわら温泉は、明治開湯の歴史もあってか、渓谷の真ん中に無理に建てた鬼怒川のような廃墟感がない。宿が整然と並び、その間を廃線跡のまっすぐな道が通る。
福井で聞こえてくるのは、サンダーバードが運んできたであろう関西弁ばかり。ここは名の通り関西の奥座敷なのだということを、耳から実感する。ふるさとの訛はないが、東西の旅仲間、他生の縁など思いやる。