sixtyseventh.diary

とりとめはない

フィクション

読点ひろい(最近の趣味の話)

冬の朝はどの季節のどの時間帯よりも潔く、そして、気高い。あまりに暑すぎる夏が過ぎて、朝だけは正直に季節を映しゆくかと思ってもいつまでも体の芯がぬるい。地球の公転周期と地軸の傾きこそは朝よりも忠実に季節を教えてくれる。午前6時に起きればまだ薄…

創作:「弥栄」

中川は深夜、左衛門橋通りを南へ走っていた。黒のスニーカーが歩道を交互に踏みしめる。昼間に路面を濡らした雨粒はほとんどが上野の空に帰り、街路樹だけが暖房の効きすぎたカフェ店員のように湿っていた。 月明かりも星の輝きもどこかへ消えた上野の夜中、…